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2007年10月 5日 (金)

誰も教えてくれなかった「医学論文の書き方 10の鉄則」

ようやくメルボルンも春らしく温かくなってきました。自転車通勤もますます快適!

さて、こちらに来て3ヶ月がたったわけですが、先にも書いたとおり今年の目標は「論文月一本」!かなりハイペースであることには間違いありませんが、今やっている仕事は疫学研究なのですがすでに集計されたデータセットがありますので、そのデータを統計解析して論文に仕上げる・・・ということなのでこのペースになるということです。もちろんデータを集めるまでが大仕事なわけですが今のボスのすごいところはアメリカ、オーストラリア、シンガポールなどの疫学研究に関わっていて、それらの研究のデータセットを自由に使えるということ!眼科疫学という狭い分野のなかではかなり恵まれた環境にあります。

さてこれまでの目標達成度ですが・・・アクセプト1編、レビュー待ち2編、レター2編となかなかのスタートを切りました。問題はこれからこのペースを続けられるかどうかです。今後はシンガポールの疫学研究のデータを解析して日本のものと比べる・・・などのテーマで行く予定です。

Rimg0225ずいぶんと前置きが長くなってしまいましたが本題は「誰も教えてくれなかった医学論文の書き方 10の鉄則」ということで、今のボスのセミナーで教えてもらった論文作成の極意についてです。彼はこれまで何百という論文を書き、また眼科系医学雑誌の編集委員やレビューワーをあれこれ経験していますのでとても説得力のある話です。その内容は・・・

1. その分野の専門家になる。
これから書く論文のテーマの背景、まだわかっていないことについて精通する。少なくともレビューワーと同程度の知識を持つこと。
2. 目的を明確にする。
目的、仮説、exposureとoutcomeの区別をしっかりおさえる。
3. 簡潔なことばで書く。
また主語を「This study・・・」よりも「Our study・・・」とするなど。略語はできるだけ避ける。
4. フォーマットを整える。
雑誌の形式に従う。「プロの仕事」と思わせる。フォント種類、サイズの不一致がないか?表や図は一ページに収めて見やすくする。雑誌に合わせて英国式、米国式のスペルチェックを忘れずに。
5. 抄録が命!
多くの編集者。レビューワーは抄録だけでアクセプトするか決めている。第一印象が重要。抄録だけで完結するように。抄録の結論も抄録のデータから引き出されたものになっているか?
6. Introductionは短く、鋭く。
1ページに収まるように。以下の3つの段落に分けて考える。

  • 第1段落(5行まで):
    • 対象となる疾患について(1行、引用文献1-2編)、その疾患の臨床的な意義について(2行、引用文献3-5編)、これまでの研究でまだ解明されていない点について(1行、引用文献3-5編)
  • 第2段落:
    • これまでの研究のレビュー(何がわかっていて何がわかっていないのか?新しい研究が望まれている理由は?これまでの研究の欠点は?)
    • ここでこれまでの研究の文脈の中でこれから書く論文の位置付けを行う。
  • 第3段落:
    • この論文の目的を一行で書く。

7. 鍵となる文章をおさえる

  • これまでの考えかたのまとめ
  • 他の研究の紹介
  • 他の研究の欠点、限界
  • わかっていないことを明確に提示する

8. Discussionの6つの"C"

  • 第1段落:"Clarify"
    • この論文の結果で一番大切なことをまとめる。
  • 第2段落:"Compare and contrast"
    • この論文の結果は他の研究、これまでの仮説とあっているか?
      • もしあっていれば"Our study further supports existing data showing...."
      • もしあっていなければ"Our study now shows that ..."そして予想外の結果について考えられる理由を挙げて考察を加える。
  • 第3段落:"Contemplate"
    • 結果について説明を加える。
    • 基礎研究に立ち返る。生理学的見地から?解剖学的見地から?病理学的見地から?薬学的見地から?
  • 第4段落:"Contribution"
    • 臨床的意義、研究としての意義
    • 治療に対する貢献
    • 今後の研究に対する展望
    • あまり一般化しすぎない。この研究ですべてが解決することはない。
  • 第5段落:"Cons"
    • 研究のデザインの問題?
    • 研究の対象者の問題?
    • データ収集の問題?
  • 第6段落:"Conclusion"
    • 第1段落をコピー・ペーストしてまとめる。
    • 明確なメッセージを伝える。

9. 引用文献も大切

  • よく吟味する。重要でかつ、最新のものを選ぶ。
  • その分野で重要な論文を入れること。
  • レビューワーになりそうな人の論文を引用する。
    • レビューワーの論文が引用されていると論文はアクセプトされやすいという研究がある。
      • Egger M,Wood L, von Elm E,Wood A, Shlomo YB, May M. Are reviewers influenced by citations of their own work? Evidence from the International Journal of Epidemiology [abstract]. Proceedings of the 5th international congress on peer review and biomedical publication. Chicago, September 2005

10. 図表は文章に勝る。

  • 図は表に勝る。
  • 表は文章に勝る。

ということで覚書もかねて長く書いてしまいましたが、どれも当たり前といえば当たり前のことですね。やや型にはまりすぎ・・・とも思いましたが、繰り返し強調していたのは、「よほど世界を変えるような論文でなければ雑誌の編集方針にしたがって、その雑誌にうまく納まるような論文を提供することがコツ。」とのこと。なるほど。

この続編として「レビューワーのイチャモンにどう答えるか?」というのもありました。それはまたいずれ。

   

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コメント

「医学論文の書き方 10の鉄則」楽しく読ませて頂きました。
とても役立つ内容だと思います。
続編の「レビューワーのイチャモンにどう答えるか?」も拝読したいのですが、掲載予定はないのでしょうか?

投稿: 研究者 | 2011年8月26日 (金) 00時12分

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よろしければご参照ください。

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投稿: uni-edit | 2015年10月12日 (月) 21時38分

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投稿: Uni-edit | 2018年8月 3日 (金) 02時11分

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